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拝啓 遠い昔にお空の向こうに行ってしまったご先祖様。 わたくしも色々な場所に行った経験があるのでありますが、こんな事態は初めてでどうしたらいいかわかりません。 「お前、初めて見る」 「わ、わたくしもあなたに会うのははじめてであります。初めて同士でありますな」 「……可愛い」 「はい?」 「可愛い子、抱きしめる。私も幸せ。キュウ」 「いえいやあのキュウって、ちょっと待ってほしいでありますよーっ!?」 ここがどこなのかを確認する間もなく、意外と大きな胸に挟まれて窒息しかけているこの状況を何とかする方法を、今すぐわたくしに届けてください。電波で。 *** 「吸血鬼。ヴァンパイア。カインの使徒。 呼び方なんてどうでもいいがネ、そういうものがいるとするなラ、彼らは非常に可哀想な生き物だと思わないかネ?」 誰にともなくそう語るのは、『東の狂人』。 彼はいつもと変わらない含みのある笑顔を浮かべながら、言葉を続ける。 「ニンニクが食べられないかラ、太陽が浴びられないかラ、十字架に触れば死んでしまうかラ。 どれも違うヨ。彼らには最大にして最悪の弱点が存在すル」 血のように赤いフルボディの注がれたグラスをくるりと回し、言葉は続く。 「それは『人間がいなければ生きていけない』という点サ。 彼らは自分達がエサとする人間の血がなければ生きていけなイ。生まれてから死ぬまデ、一定期間にエサの血を摂取しなければ生きることすらかなわなイ。 その生き方ハ、まるで先天性の重病を背負った人間が一生薬を飲まなければならないのと変わらなイ。 そんな状態で不老不死なんて与えられたラ、私ならすぐにでも太陽を浴びて死にたくなるところだと言いたいネ!」 クツクツとした笑い声。 まるで、今までの自分の発言が全て笑い飛ばせる戯言である、とでも言うように。 「もっとモ、今回の『吸血鬼』は本当に人間の血を必要としているようには見えないんだがネ」 *** 「これで17人目なんだってなー、まったく何やってんだよ。 この島は平和な時は退屈で人が殺せるくらいに平和だっつーのに、平和じゃない時は人が死に続けるくらい平和じゃねーってぇのな! 色々とあだ名持ってる連中は多いが、今度の『吸血鬼』クンはまた派手なデビューを飾ってんなぁ。 つーかむしろあだ名しかないのってジョップリンのヤツくらいだと思ってたが、『吸血鬼』の野郎はアレと並ぶことでも考えてんのかね? ヒャハハハハハハ! どう思うよ、クズ!」 「『吸血鬼』が男か女かもわかってないわけだがな」 白いワゴンにもたれかかった金髪女と、がっしりとした男がそんな会話をしていた。 金髪の女は、この島唯一の「DJ」。 そんな彼女と話している男は「自警団の番犬」。 彼らが話をしているのは、この『島』で最近起きている連続殺人のことについてだ。 金髪の女が、クズと呼んだ番犬に、やはり笑いながら話しかける。 「なんだ? クズは『吸血鬼』が女な方がいいってか? ヒハハ、この真性マゾ野郎。そういうこと言ってっと毛布ん中で噛みつくぜ」 「……まだ陽も高いうちから何を言ってる」 「しかしアレだな、『吸血鬼』ってヤツは風情がねぇな。 そもそも吸っただけで殺しちまうくらい大量に血を奪うなんざ、よっぽど腹ペコなのかね! その空きっ腹に大量のニンニクぶち込んでやったら死ぬのかねあぁいう連中は?」 そんな、女の意味のない問いに、男は本当にどうでもよさげに答える。 「さあな。どっちにしろ、俺のやることは一つしかない」 「ヒャハハハハハハ! それもそうだ、お前みたいなクズ野郎にできることなんざ一つしかないってのな!」 男の言葉に、女は心底楽しげに笑った。 *** おかしな『島』の中にある、おかしな連中の集まるラーメン屋。 そこには今、虹色の頭の男と銀髪のゴスロリ少女が隣の席でラーメンをすすっていた。 「な、竹さんのラーメンは絶品だろ?」 「隼人の言ったとおりでありますなっ! ニンニクラーメンチャーシュー抜きがこんなにおいしいものだとは……!」 「戌井、今すぐその子にチャーシュー返せ。でなきゃ出てけ」 「ひでぇ! 俺今日は支払いの時に今までのツケ一緒に払おうと思ってたのに!」 「ツケだけ置いてさっさと出てけ」 「さらに容赦なくなった!」 困ったね、と言わんばかりにぺちんと虹色頭の男は自分の額を叩く。 そんな彼から目線を外し、このラーメン屋の店主・通称竹さんが迷惑な常連客の連れてきた少女に話しかける。 「にしても、見ない顔だな。お前さん最近この島に来たのか?」 「初めてお目にかかるでありますよ。わたくしノーチェと申す者であります。 今は西と東の境目で、日がな一日占い師やって生計立ててるのでありますよ」 戌井に奪われたチャーシューを返してもらいながらノーチェが言った言葉に、竹さんは眉をしかめる。 「占い師ねぇ……病院といい占い師といい、ここ最近これまで『島』になかった職業が増えてくな。 どっちも生計立てられるような仕事なのか? 特にお前さんはトロそうだからな、売り上げを襲われそうな気がするんだが」 「病院のことはよくわからないでありますが、わたくしこれでも逃げ足には自信がありましてな。 今日は、隼人が占いしたお礼にいいところに連れていってくれると言ったのでついてきたのでありますよ」 「いや、それはダメだろう」 「俺もそう思う」 「隼人までっ!?」 *** 東区画、ある路地裏。 死体の発見報告を聞いて、スペイン系の伊達男とプロレスラーのような体格のつり目の大男―――『東の護衛部隊』のうちの2人が現場に到着していた。 ふむ、と色男が死体を見て一言。 「俺、男の死体をじっくり見る趣味はないんだけど」 「そんな奴がいるなら目の前からフランケンシュタイナーで消してやる」 「ゲ。あんなアクロバティックな技もできんの?」 「お前の体で試してやろうか?」 「冗談。お前の太ももに挟まれるくらいなら頭ブチ抜いて死んだ方がマシだ」 もちろん、愛すべき女の子がしてくれるなら俺はどんなことでも受け入れるけどね、と色男。 そんな軽口に苛立たしげに舌打ちしながら、大男が死体の首筋を覗き込む。 そこにあるのは二つの小さな傷跡。 それは、ここ最近島内で起きている連続殺人で殺された死体たちと同じ特徴だ。 首筋に二つの小さな傷跡、そして体のほとんどの血液が奪われるという殺され方。 日常的に人の死ぬこの島において、その死に方は非常に珍しい―――というよりも、ほぼ見られない死に方だ。 銃で撃たれた死体、刃物で切られた死体、鈍器で潰された死体、関節がねじくれた死体、薬漬けの死体などは珍しくないが、血が抜き取られた死体などそうはない。 まるで殺すのが目的よりも、別の目的があって結果的に死んでしまった、というような。 だからこそ、この事件の犯人は『吸血鬼』というあだ名で呼ばれているのだった。 「確かに『吸血鬼』ヤロウの仕業みたいだな。 ―――見てて気持ちのいいモンでもねぇ、さっさと死体処理屋に任せるか」 「オイオイ、死体処理屋じゃなくて医者だろ?」 「ウチの隊長に初対面で『ナースなメイド服着てわたしの天使になってくれないか』とか言う性格破綻者は医者とは言わねぇ」 言いながら、彼はその性格破綻者に向けて連絡をとるために携帯を取り出した。 *** 「つまりですね、事件なわけですよ!」 「……はぁ」 ノーチェは、いきなり彼女の出している店の前までやって来てそう宣言した少女に面食らった。 少女の顔はかなり整っており、可愛らしい、と言っても差し支えない。その隣にいる顔の似た少年は頭を抱えている。 その2人をじっくりと見比べた後、ノーチェは少女の方に顔を向けて尋ね返す。 「で、何が事件なんでありますか?」 「何を言っているんです。今この島で一番の話題と言えば『吸血鬼』の事件に決まってるじゃありませんか!」 「えぇと……それで、その事件がどうかしたのでありますか?」 当然と言えば当然のその質問に、少女―――シャーロットは答えた。 「吸血鬼と言えば不思議! 魔法とかそんな感じの生き物でニンニクとか十字架とか太陽がダメなはずです! えぇと、そんなわけで占い師とかいう不思議な職業をしてるあなたは吸血鬼なはずで太陽が苦手ですよね!?」 「姉さん、今真昼なんだけど……」 「お日様燦々でありますなー」 沈黙。 「え、えぇっと……そう! ニンニク、ニンニクはお嫌いですよねっ!?」 「この間、ラーメン屋さんでニンニクラーメンチャーシュー抜きを食べてましたよね?」 「あぁ、あそこのラーメンおいしいでありますな」 さらに沈黙。 「ふ、ふふふふふ。いいでしょうこれは私への挑戦と受け取りました! いつか必ずあなたが吸血鬼であると証明してみせましょう、私の名にかけて!」 「姉さん、また何か変なものに影響されたね……?」 そして去っていく姉弟を見ながら、一人取り残されたノーチェは呟いた。 「うーん……凄い方でありましたなぁ。わたくしも気をつけねば」 *** 西区画、幹部の私室。 「―――『吸血鬼』については、何かわかった?」 「すまない」 自身の「影」である「忠犬」にそう告げた彼女は、しかし彼から望んでいた答えを返してもらえずに少し不満げに眉を寄せる。 「太飛からも情報が得られないというのは、流石に異常な事態ね。 何か見落としていることでもあるのかしら。誠一、あなたは何か気づいたことは?」 「……少し、思ったことがある」 珍しい、と思いながら彼女はその言葉をさえぎらない。 「影」は発言を許可されたと考え、言葉を続けた。 「やはり、普通に殺すのならば血液を抜くのは時間がかかりすぎる。 手段と時間はもちろんのこと、両陣営の手の入らない場所を確保してまでそんなことをする必要性がわからない」 「わからない、というのが思ったこと?」 「殺すのが目的ならば、そこまで時間をかける必要はない」 その言葉に、西区画の幹部であるところの彼女は眉をひそめる。 「―――もしかして『吸血鬼』の仕業だ、なんて馬鹿なことを考えているの?」 「そうでないとするなら、『殺すこと』が目的ではないのだと思う。 奪った血を目的とするのが吸血鬼だとするなら、案外死体でも目的なのかもしれないな」 もっとも、この島では集めようと思えば死体なんていくらでも手に入るんだが、と皮肉気に笑いながら「影」は言った。 *** 「大丈夫でありますかー? ねぇ、大丈夫でありますかってば」 倒れているのは、成人に少し届かないくらいに見える少女。 その少女に、ノーチェはぺちぺちとほっぺたを叩いて覚醒を促す。 「もう大丈夫でありますから、そろそろ起きてほしいのでありますよー……」 ノーチェは、背後からはがいじめにされて襲われている少女を発見。助けようと駆け寄ると、襲っていた相手は逃げてしまったのだ。 ぐったりとしているものの、外傷のない少女を起こして安全なところまで送り届けようと思っていたノーチェは、少女に語りかける。 その時だ。 バルルルルルルrrrr…… 遠くから、何かのうなりが近づいてくるのが聞こえる。 まるでエンジン音のようだが、それは上の方から聞こえてくる。 この島で車に乗って移動するものはいるが、さすがに空飛ぶ車なんて非常識なものを持っていた人間はいなかったはずだ。 なんだろう、とノーチェが上に視線を向けると――― ―――ビルの屋上から木の板を斬りつけて減速しながら、両手に一本ずつのチェーンソーを持った非常識な女性が降りてくるところだった。 彼女はまるで「猫」のように、しなやかに空中で一回転しながら音も立てずに着地し、ノーチェの鼻先に激しく回転を続けるチェーンソーを突きつける。 いきなりの事態にぴぃっ!? となにやら可愛らしい悲鳴を上げるノーチェに、チェーンソーの爆音にも関わらず女性は話しかける。 「アハハッ、ねえねえ貴方美咲に何してるの? 何してたの? もしかして血を採ろうとしてたっ? ねえねえねえねえ答えてよ、答えてください。貴方がこの島に来た『吸血鬼』なの? 美咲も襲おうとしてたの? 答えてくださいよ!」 「ま、待ってぇぇぇぇええええっ!? わ、わたくしちょうど通りかかったただの占い師でありますからー!」 「すみませーん! 全然聞こえないですよぅ占い師さん!」 「聞こえてる! 絶対聞こえててやってるでありますよねっ!?」 *** 月の下、島の中。 「……そろそろ、潮時というやつですか」 1人。その人物はただ、海を見ていた。 思ったよりも、追求の手が伸びるのは早かった。 さすがは大きな組織の人間だ。もう少し、実験のための材料をそろえたかったのだが。 「―――仕方ありません。規格もそろったことですし、始めましょう」 一陣の風が吹き抜ける。 「赤い、赤い血の夜を」 *** すでに命を失い、体の中身すらもすでに人とはかけ離れたものにされた、『吸血鬼』の生み出した死者の群れが、島を埋め尽くす。 そして―――その事態に動いた者達がいた。 「ハ―――ゾンビ映画は大抵パニックホラーものだから見たことがなかったんだが、いくら殺してもモブが湧いて吹き飛び続けるってのは盛り上がり所がねぇな! うん、俺今度からゾンビ映画も見るよ! んで対処法覚える! 今回くらいしかこんなことは起きないだろうけどな!」 言いながら、2丁拳銃で死者を吹き飛ばす虹色の『狂犬』。 「どうせ、どこかにいるんだろう。このゾンビ共を見てはしゃがないはずもないからな。 ついでに始末する機会ができた、と思っておくとしよう」 死者の群れの向こうに、1人の男の姿を幻視する黒衣の『忠犬』。 「眠い、寝たい。邪魔する、眠れない。お前たち、可愛くない。 だから殺す。壊す」 無表情の中に、珍しく苛立ちを露にする白い白い『眠り姫』。 「島の中で空気を乱す者が死者とはな。目障りだ、もう一度獄卒のところに送ってやろう。 ……まったく。貴様等のようなものが存在していては、愚か者が飛び込んだ時について頭を痛めなくてはならん」 冷静の中に、形容しがたい感情を持て余す若き『西の長』。 「貴方たちは、この島で生きようとしてる人じゃない。この島に生きてる人でもない。 もう死んでる人たちに、この島を荒らされるのは我慢できないので―――私が、止めますね」 凶暴な二つの爪に、エンジンを灯す護衛部隊の隊長の『猫』。 「あーあ、潤も皆も行っちゃったんだし―――出てきなよ、いるんでしょ?」 「……ゴメン。ナズナさんに、あんな連中が触るかもしれないのは我慢できないから、来たよ」 護衛部隊の『刀使い』に呼ばれ、「島」で最高の『殺人鬼』が現れる。 「『洪水は、来る前に逃げろ。それができないなら出来る限り上に逃げろ』か。 一食分の恩義にしては、やけに大きな恩返しがきたね」 廃ビルの屋上から下を見る、『小ネズミ』たちと『鼠の王』。 「言葉が聞こえているはずもない連中と話をするのは馬鹿げたことだとケリーの奴には言われたが、これが俺の流儀なんでな。 一応言うぞ―――全員、落ち着け」 この島における、最強で最高のヒーロー。『番犬』。 そして。 *** 空にかかるのはとろけたような三日月。島を埋め尽くす死者の群れ。 死のニオイに満ちる島の中、そこだけは死者がいない。 そんな場所で、1人月を見上げている人間がいた。まるで、自分にとっては死者の群れが脅威ではないとでもいうように。 ただただ、そいつは月を見る。ふぅ、と軽い溜め息をついた。 そんな、月を見ている人間に街灯を遮る影が差した。 なんだろう、と思ってそちらを見れば、そこには同じく月を見上げる少女がいた。 少女は、月を見上げたままそいつに話しかける。 「いい月夜でありますな。 白いお月様は、わたくし大好きでありますよ」 まるでそれ以外の月は嫌いだとでもいうように。 少女は、あなたはどうでありますか? とたずねながら、目線を月からそいつへと移して続ける。 「ねぇ―――『吸血鬼』さん?」 そいつは、少女の言葉に背筋を凍らせた。 少女の顔には、まるで今宵の月のようにまがまがしくとろけた笑みがある。 *** ナイトウィザード×越佐大橋シリーズ『ごく×ごく(吸血×奪血)』 公開未定! *** 「カン違いされがちなのでありますが。 わたくし―――冤罪を受けて黙ってられるほど、甘くはないのでありますよ?」 ← Prev Next →
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game0329 (1)プログラム http //www15.atwiki.jp/ce00582/pages/3904.html (2)コメント (3)リンク http //sorceryforce.com/xna/tips_drawalphameric.html (4)作業記録 3月4日 ページ作成
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【TOP】【←prev】【PlayStation 2】【next→】 Wizardry XTH 2 無限の学徒 タイトル Wizardry XTH 2 UNLIMITED STUDENTS ウィザードリィエクス 2 無限の学徒 機種 プレイステーション2 型番 SLPM-66300 ジャンル RPG 発売元 マイケルソフト 発売日 2006-3-23 価格 6800円(税別) タイトル Wizardry XTH 2 UNLIMITED STUDENTS Wonder Price 機種 プレイステーション2 型番 SLPM-66300 ジャンル RPG 発売元 マイケルソフト 発売日 2007-6-7 価格 2980円(税別) ウィザードリィ 関連 Console Game FC Wizardry Wizardry II Wizardry III SCD-R Wizardry I・II Wizardry III・IV Wizardry V SFC Wizardry V Wizardry VI ウィザードリィ 外伝 IV 胎魔の鼓動 Wizardry I・II・III Story of Llylgamyn SS Wizardry VI VII COMPLETE Wizardry NEMESIS Wizardry LLYLGAMYN SAGA PS ウィザードリィ VII ウィザードリィ VII スペシャル ディスク Wizardry LLYLGAMYN SAGA Wizardry New Age of Llylgamyn Wizardry DIMGUIL Wizardry EMPIRE 古の王女 Wizardry EMPIRE II 王女の遺産 PS2 Wizardry EMPIRE III 覇王の系譜 Wizardry XTH 前線の学府 Wizardry SUMMONER Wizardry XTH 2 無限の学徒 Wizardry外伝 戦闘の監獄 Handheld Game GB ウィザードリィ 外伝 I 女王の受難 ウィザードリィ 外伝 II 古代皇帝の呪い ウィザードリィ 外伝 III 闇の聖典 Wizardry EMPIRE Wizardry EMPIRE 復活の杖 Wizardry Wizardry II Wizardry III WS Wizardry GBA Wizardry SUMMONER 駿河屋で購入 プレイステーション2
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いつまでも変わらず、賑やかに過ぎる毎日。隣のクラスと自分のクラスを行ったり来たりして過ごす、とても大事な日々。 高校生活最後の一年。もうすぐ別れが来る、そんな最後の大切な一年…。 みんなと笑いあい、賑やかに日々を過ごせるのももう僅か。卒業を迎えたら・・・きっと、みんなとバラバラになる。 出来るなら、いつまでも皆と一緒に過ごしたい…でも、もうすぐ春が来て、卒業の季節になって・・・。 『できるよ?』 何処からともなく聞こえたその『声』は、とてもあたしにそっくりだった。 靄のかかったようなその薄暗がりの『世界』の中、あたしの前に佇んで微笑むのは・・・小さい頃のあたしだ。 『この手を取ってくれたら、何時までも続く幸せな日々をあげるよ?』 でも・・・そんなことはできない・・・はず・・・。 頭に靄がかかったようになって、だんだん思考がまとまらなくなる。 『大丈夫、永遠に続くしあわせをあげる。だから…あなたの『心』をワタシニ チョウダイ?』 あたしは・・・アタシハ・・・ 紅い月が昇る世界の中、あたしは小さな頃のあたしに手を差し伸べ、その手を取った。 小さな頃のあたしが、ぞっとするような笑みを浮かべていたのがほんの少し、気にかかった・・・。 357 名前: 駄文ですが・・・。 [sage] 投稿日: 2007/12/01(土) 20 55 01 ID ???0 「お疲れ様でした柊さん。今はただその身を癒す事だけをk」 「待てぃ」 異世界に存在する『世界の守護者』アンゼロットの宮殿の中にある謁見の間の一角で、可憐な笑みを浮かべる銀髪の少女は にこやかに、とてもにこやかに『客人』の労を労うべく言葉を投げかけた。 その『客人』は青いブレザーを着込んだいかにも不良学生といった感じの少年だ。ただし、その身を機械式の無骨なマジッ クハンドにしか見えないもので鷲掴みにされ、宮殿の謁見の間に宙吊りにされている姿を見る限りではとても『労を労う』為 に彼を呼び出したようには見えない。よく見れば少年の顔には疲労の色もはっきり浮かんでいるように見える。 「・・・毎回毎回ホイホイホイホイ世界中のあちこちに引きずり回しやがってっ!ここ数日まともに日本の土踏んでねぇぞ!? お前には他に頼れるウィザードのコネはねぇのかよっ!ちっとは引きずり回される側の身にもなりやがれこの野郎っ!?」 まさに鬼のような形相で叫ぶ少年をさらっと無視して笑顔のまま言葉を続ける銀髪の少女・・・アンゼロット。『無視かよっ!?』 などと叫ぶ少年の都合なぞ完璧無視して言葉を続けるあたり、実に『イイ』性格をされているようである。 「さて、疲れも癒えた所で次の任務です♪」 「ちぃぃぃぃっとも癒えてねぇよぉぉぉぉぉぉぉっ!?」 少年、柊蓮司の叫びはアンゼロット宮殿の隅々まで響き渡る・・・が、まぁいつものことという事で完璧に無視されたと言う、合掌。 「今回の任務は調査活動を中心にしたものです。本来なら他のウィザードで任に当たってもよかったのですが…」 「なら他にあたれ他にっ!?俺をわざわざ指名する理由はないんだろうがその言い分だとっ!?」 「おちついて。今回の任務の内容について簡単に説明します」 そう言ってアンゼロットは今回の任務の内容の説明を始めた…そう、柊の意向も何もかもを軽くスルーしたまま、彼を宙吊りにし たままで。 「今回の任務について解説する前に、過去に解決済みのある事件について簡単にお話した方が良いかと思います。エンドレス・サマー と呼ばれた事件に心当たりはありませんか?柊さん」 「…俺が直接かかわらなかった事件だな、確か。地獄が原高原を中心に世界結界に異常がおこって、世界中が永遠に夏を繰り返した とかいう内容だっけか?」 「概ねその通りです。詳細についてはエンターブレイン刊行のリプレイ『白き陽の御子』をご覧になってください」 「・・・今誰に話しかけやがったんだお前はっ!?いいからとっとと続きを言いやがれっ!」 一拍間をおいて、アンゼロットは言葉を紡ぐ。 「実は現在、先のエンドレス・サマー事件を髣髴とされるような『時間の巻き戻し』現象が勃発しています。もっとも不可解なことに 今回のケースでは、時間の巻き戻しによって世界から失われるプラーナの量が極小で、それ故に事件の初動段階での調査が行えなか ったのです・・・まるで、何者かが世界を守っているかのように」 「だが、放置が出来る状況でもないってわけか・・・んで、現象の中心地域はどこだ?」 「・・・いって下さるのですか?柊さん」 「どうせ俺に拒否権はないんだろうがっ!白々しく言うんじゃねぇっ!とっとと話進めやがれこの野郎っ!?」 「今回の巻き戻し現象の中心地域は日本、さいたま県一帯です。陵王学園一帯・・・と言い換えるべきですが」 その一言を聞いて、柊が息を呑む。 「おい・・・それってマジで言ってるのか!?」 「どうなさいました?柊さん」 「陵王学園ってそこは・・・俺の従姉妹が通ってる学校だっ!その辺りの事を早く言いやがれっ!」 「だって、聞かれませんでしたし」 「魔王の真似なんぞやってるんじゃねぇぇぇぇっ!?」 こうして柊蓮司は、アンゼロットから押し付けられた任務に就く羽目になったのである。従姉妹の通う学校を護るため、単身で。 いつもと変わらない賑やかな日々。昼休みには隣のクラスに行ってみんなと過ごすお弁当タイム。こなたが時折ノートを 取り忘れて、あたしのノートを借りにくるのを苦笑交じりに応対したり、放課後の予定とかを考えつつ過ごしたり。 そんなこんなやってるうちにやって来る放課後。ホームルームが終わったあと、校門前でつかさ達を待つ。黒井先生のHR はあたしのクラスより少し長いんだと思う。一人でまつ時間って、なんか憂鬱だ。 と、そんな憂鬱な時間をぼーっと待ってたところで、あたしの携帯がメールの着信を知らせた。姉さんからだ。文面を軽 く確認すると・・・従姉妹の蓮司兄さんが、ほんとに久々に遊びに来るという内容だった。 蓮司兄さんの事は実はあまり印象に残ってない。むしろそのお姉さんの京子さんの方が強く印象に残ってる。まぁ、殆ど 遊びにくることもなかった人だからしょうがないけど。 風のうわさに聞こえる「学年が下がった」とかいうのも、多分性質の悪い噂か何かだと思う。 「ぉーぃ かっがみーん♪」 などとメールを見つつ思案に耽ってたのがよくなかったんだと思う。あたしは真後ろからこなたに声を掛けられるまでま るで皆の気配に気がつけなかったんだから。 「ややぁ・・・?かがみんのメールの文面の中に、男の人の名前らしきものが載ってんねぇ~?」 まるで猫のように目を細めつつ邪推120%の笑みを浮かべるこなた。あたしは軽く溜息をつく。だいたいここ数年ろくに顔を 合わせていない従兄弟との間に何があるというのかと、こなたに問い詰めてやりたいけど・・・この分だと何を言っても無駄な 気がする。おそらく間違いなく。 「従兄弟だって従兄弟。今秋葉原の輝明学園に通ってる従兄弟の人が遊びに来るんだって」 携帯を畳みつつ、あたしはこなたに返事を返す。少しはなれた所を歩いていたつかさが、小走りに駆け寄ってくるのが見え た。どうやらつかさもメールを確認してたみたい。 「おねぇちゃん。蓮にいさんが遊びにくるって!」 「つかさ落ち着きなって、別段変わった事もない訳だし」 やや興奮気味の妹…そういえば、蓮司兄さんはやたらと年下の面倒見がよかったなと思い出す。まぁ、久々に会う従兄弟 を迎えるのに何もなしってのも何だし・・・あたしは少し考え込み、こなたにも声を掛けてみた。 「だったらこなた。今日ウチに遊びに来る?従兄弟の人ももうウチに着いてるらしいから挨拶とかもできるし」 「おっけー!今日はバイトも入ってないのでもーまんたいなのだよ~」 かくてあたし達は一路、みゆきに別れを告げた後に自宅に向かう事になった。久々に会う従兄弟、どんな顔して会うのが いいのかな?などとたわ言を考えつつ。 ← Prev Next →
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8-537 何処とも知れぬ深い闇の中――無数の『鏡』の浮かぶ空間に、一人の少女が佇んでいた。 それらの中に映るのは、迷宮を探索する者。或いはそれを妨害せんとする魔物の類。 ひとしきり眺め終えると、少女は軽く手を振って一枚の『鏡』を呼び寄せる。 他の『鏡』に比べて一際豪華なそれは、内側から黄金色の光を放つ。 否、この光は『鏡』の中に捕えられた巨大な鳥から溢れ出す生命(プラーナ)そのもの。 零れた光は少女に間断なく注がれ、刻一刻と力を増していく。 「さすがは霊獣『黄金のコンドル』――まるでプラーナの塊だわ。 今の私ならそこらの魔王、いいえ、お姉さまにだって対抗できる!」 少女の名はニー=クラリス。かつて“金色の魔王”ルー=サイファーの眷属だったエミュレイターである。 「『あの方』から授かったこの力さえあれば、時期裏界皇帝は私のもの。 世界の劣化どころか、世界という世界を迷宮に書き換えてあげる!」 少女の宣言と共に、迷宮は拡大する。 ……全世界を飲み込むまで、残り約4日。 #風来のシレンより「黄金のコンドル」、鏡の迷宮のグランギニョルよりニー=クラリスを投入してみる。 #やっぱり不思議のダンジョンといえばシレンでしょう! #SSとかほとんど書いたこと無いから文が荒いのは勘弁…… 8-539 ダンジョンの奥深く…神秘性と機械的な雰囲気が同居したような階層の続く場所にその部屋はあった。 その部屋が存在する階はそんな中では機械性が強いところであったが壁と頑なに閉ざされた扉によってフロアと 頑丈に隔離されたその部屋の中だけは対照的に… 壁からは神秘性のある光がこぼれ部屋全体を照らしていた。 そして、その神秘性をさらに強調するように…部屋の中央にはクリスタルが光を放ち回転していた。 と、何者かがクリスタルの前に立ちクリスタルに影が差す。 クリスタルの前に立ったそれの姿は正気の人間なら等しくこういうだろう… なんとおぞましく…禍々しい…そして…醜い… クリスタルを前に醜い姿のそれは幽鬼のように…呪詛を読み上げるように呟く。 「力ダ……コノ力があれバ……今の俺なラ……忌々しい黄色い鳥やモーグリ……そしテ…… 姿を変えテ自分を偽っているだケの俺自身などニ……負けハしない!!!」 負の念を巻き散らかすかのように咆哮する異形。だが、すぐに我に返ったように 再びクリスタルの方へと顔を向け、呟きを再開する。 「ダガ…この程度でハ足りない……全てを……ハカイ……ハカイ……破壊するには…… 満足などできるはずがない……もっとだ…… モット……力を……そのために……広がれ……ダンジョンよ……」 「キキキッ!」 部屋に新たに嘲笑するような笑い声が響く声がした方にいたのは黄色い体色に角を持った子悪魔…… ベビーデビルと呼ばれるインプ種最上位に位置するモンスターであった。 「ダンジョンが広がれば広がるほどクリスタルへの力の供給は増え、その力を糧としグラスゴス様は さらに進化する!キキキッ!」 「力だ……チカラ……チカラ……」 ベビーデビルを気にも留めず……異空間へと接続されたこのダンジョンの主…… グラスゴスZはただチカラとだけ呟き続けた。 一方、部屋の扉の前……その空間が突如歪み、そこから現れる物があった。 それは青き体に力強き瞳を持った竜。竜は一瞬目を瞑るとそれだけで全てを悟ったようにうなり、 口を開いた…… 「時……いや、時空さえも乱れている……これは……面倒なことをしてくれたものだ…… このダンジョンと時がズレたダンジョン、そして異界のダンジョンを強制的に繋げるとは…… だが、それだけならまだいいだろう……これを行った存在は目的のためダンジョンを手っ取り早く広げることのみに 執心しているようだ……そのせいで雪山にいるかつてのクルクルの残り香が再びこのダンジョンへと 舞い戻ってしまった……そして、これを行った存在がダンジョンを広げれば広げるほどクリスタルの力は増し グラスゴスは力を増す……いや、このまま力が供給され続ければダンジョン自体が兵器としての本来の機能を 取り戻しかねない……このまま……」 言葉を切る竜。だが、しばらくして再び口を開く。 「今はただ、時の番人としてこの時を見守るとしよう…… だが、この時をもっと見たくするようなものが現れたのならその時は……」 そこで口を閉じると竜は再び空間を歪めその中へと姿を消した…… とりあえずチョコボの不思議なダンジョン2から…ワリと大それた感じにした割にあんま先考えてないわけだが… 8-542 あるものは言う。このダンジョンは強力な何かが作り出したものだ、と。 またあるものは言う。いや、この奥には強力なマジックアイテムがあり、それを守るためのダンジョンだと。 そして、またあるものが言う。いや、このダンジョン事態が1つの生き物なのだ、と。 結論は誰にも分らない。今までヌシだと思われていたものが倒してみたら外れだったなんて例もあるくらいだ。 いつしかここを攻略している者たちの結論は一つにまとまった。 最下層へ。そこに真実がある。 8-543 て言うかさ、無理にオチをつけんでも良い気はする。 無限に続く不思議なダンジョン。そこに潜る冒険者たちの奇妙な交流って感じでいいんじゃね? と、言うわけで。 夜見トオルは割と義理がたい性格であった。恩人の頼みとあらば無視はできない程度には。 「よろしくねトオルくん!」 「何で俺が…」 トオルは目の前の、怪しげな機械をつけた少女に愚痴をこぼしながら愛用の箒を取り出した。 「うわ。ほんとーに何も無いところから取り出した。すごいね」 少女は素直にそれに驚く。それを見てトオルは確信する。目の前の少女はウィザードでは無いと。 それが更にトオルの疑問を深める。 「なあ、えっと…」 悩んでいても答えは分からない。トオルは意を決して尋ねることにした。 「タマキだよ。こんごともよろしくー。で、何?」 「ああ、タマキさん、なんでアンタ、パール=クールと一緒にいるんだ?」 そう、この少女は魔王と行動を共にしていた。しかも裏界でも7本の指に入ると言われる大魔王と。 その問いにタマキは少し悩む素振りを見せたあと、あっけらかんと答える。 「う~ん、強いて言うなら…合体事故?」 「なんだそりゃ…?」 怪しげなダンジョンが現れた。もしかしたら世界の危機かも知れない。 そんな話を聞いてはいた。だが、今の自分には世界よりユリの方が大事だ。と、言うわけで無視を決め込んでいたのだが。 「パールちゃんのめーれーよ!すぐに来なさい!」 そんな電話を受けて、このダンジョンにやってきたのはついさっき。そして、パールちゃんの新しいしたぼくよ!とタマキを紹介された。 そしてパーティーを組んで一緒に戦うことになったのだが。 「いやーちょーこーさまってDARK属性なせいか燃費が洒落になんなくてね。余計な仲魔呼べないんだわ。 で、ちょーこーさまに聞いてみたら、人間の知り合いがいるって聞いてさ。呼んでもらったの」 「はた迷惑な…」 やれやれとばかりにトオルは頭を振る。 恩人でもある“超公”パール=クールはこの手のはた迷惑な行動をよくやる。本人にはそういう自覚が無いだけにすごく厄介だ。 「それにしてもトオルくん…」 「ん、なに?このマントは呪われてるから外せないってだけだが」 先回りして一番よく突っ込まれるところに応える。だが、タマキの疑問は別のものだった。 「なんかさ…悪魔の力を感じるよ。もしかして、悪魔と合体でもした?」 「ああ、そっちか…」 戦闘形態ではない、本来の夜見トオルの姿の状態で見破られるとは思っていなかったが。 そこは伊達にダンジョンハックするような子じゃないってことなんだろう。 「ああ、俺は魔王の力を得た“落し子”だからな。合体もしたと言えばした」 「ふ~ん。そっか…」 「なんだ?どうした?」 トオルの話を聞いてタマキが少しだけ、暗い顔をする。だがすぐに笑顔を取り戻し、言った。 「ううん。何でも無い。さ、いこ!ちょーこーさま待ちくたびれてるだろ~し!」 「あ、おい待てよ!」 さっさと駆け出す少女を、トオルは慌てて追いかけた。 「…まいったな。ノモスでのこと、思い出しちゃったよ…」 零れてくる涙を拭き取りながら、タマキが小さな声で呟いた。かつて、悪魔と合体した仲間のことを思い出して。 8-544 一方その頃、オープンダイス王国や神聖魔神同盟は、何時も通りだった。 暗黒不思議学園や東迷宮県、ダイナマイト帝国も代わりが無かった。 すなわち、 処刑をし、 パンが無いのでお菓子を食べ、 授業をし、 猫耳であり、 迷宮を掘りぬいていた。 そして、ネフィリム・コーポレーションとハグルマと金輪産業とミリテクとミツハマとその他色々な大企業が、鎬を削っていた。 8-548 ダンジョンの一室 何もない部屋にどこからともなく声が響いてくる 「ふむ、時空間全てが歪んでおるな。 ゆえに朕が存在しておるわけだが」 依然どこにいるのか分からずに声のみが響く 「まあいい、とりあえずこの事態を楽しもうではないか人間達よ」 いや、よく見ると部屋の中心に縦に線が走っている 「陳の名は珍龍 空転と花丸と二次元と低迷と酩酊と浮動のラジアン」 その叫びとともに一本の線が子供の落書きのような龍に変化した 「朕の願いはただ一つ、本編に出ること! 人間達よ恐れぬならばかかってこい!」 ここに一つ強敵が(見た目は冗談だが)誕生した 「ムキャーーーーーーーーーッ!!」 ラジアータストーリーよりラジアンなんかギャグがほしそうだったので一匹追加 やっぱSSって難しいな 8-553 ダンジョン上層部で、“先代鍛冶王”ヴェールンドが営業を始めていた。 面白がった織田上総介信長が乗り込んできて、自分以外の織田信長に出くわすのはもう直ぐだった。 どうも、信長だけでパーティーが組めるらしかった。 …… …… …… そして、この迷宮の何処かで、災厄王が逃げ惑い、迷宮化を振り撒き続けているのです。 多分。 ダンジョン上層部で、“先代鍛冶王”ヴェールンドが営業を始めていた。 面白がった織田上総介信長が乗り込んできて、自分以外の織田信長に出くわすのはもう直ぐだった。 どうも、信長だけでパーティーが組めるらしかった。 …… …… …… そして、この迷宮の何処かで、災厄王が逃げ惑い、迷宮化を振り撒き続けているのです。 多分。 8-554 「ああ、畜生。どうなってやがるんだここの構造は!」 「マッピングが無意味だな……。上に行ったかと思ったら下だったとか、冗談キツすぎるぜ……ん?」 「どうした?」 「いや……何か……聞こえない、か?」 「何か?何がだ?」 「ターイラー……」 それは深淵より響く声。 「ターザンメ……」 長き年月をその身に刻んだ声。 「ウォウアリフ……」 ただ人の身でありながら神への道程を駆け上った人間の声!! 「イェーター!!」 呪文が結すると同時にあふれ出た超・高熱の光は哀れな冒険者を全て呑み込み、蒸発させた。 呪文の名はティルトウェイト。 異世界で起きた核熱のエネルギーを開いたゲートからぶつける、メイジが扱う最高威力の魔法である。 「ふん。ワシの庭に入り込んだネズミの多いこと……ん?」 老人が辺りを見まわし、何かを把握したかのように頷いた。 「……コズミックキューブが、また別の場所とつないだか?これは……忙しくなりそうじゃな」 まずは己の庭がどこと繋がったかを見定める必要がある。 そう呟くと、ワードナは酸素マスクをかぶり直し、ウィングブーツに包まれた足で歩み出した。全裸で。 8-559 アナイアス山麓のダンジョンにすむ偉大なる魔導師グレイロードは、ダンジョンから世界の歪みを感じ取っていた。 そして、弟子であるセロンという黒髪の青年を呼び出した。 「我が師グレイロード、このダンジョンに異変を感じ取ったのですが、一体何が起きたのでしょうか?」 「セロンも気づいたか、このダンジョンが異界と繋がってしまったようだ。 よって、お前に調査を頼む。今回はお前一人で行かなくてはならない。」 「わかっています。勇者達の協力を得られないのは残念ですが、 彼らはすでに旅立ってしまってますからね。」 「うむ、セロンよ、異変の原因を突き止め異変を止めることを私は信じているぞ。」 「ありがとうございますグレイロード。必ず原因を突き止めてきます。」 こうしてセロンは単身異界と交わったダンジョンへと進み始めた。 ダンジョンといえばダンマスということで入れてみた。 キャラクター セロン スキル ファイター、ニンジャ、プリースト、ウイザード 全てマスタークラス (セロンズクエストをクリアしてるのでマスター) 今回は同行する勇者がいないので、仲間は現地調達(死体を蘇生も可) 8-564 ちょっと乗ってみる。 桂言葉 園崎詩音 芙蓉楓@リレー 「どうなされたんですか?ベール=ゼファーさん」 ここはフォージ・アースにいくつかあるベールの一つ屋敷だ。 彼女の支配下にあるウィザードとベールが互いに連絡を取りあう 場所である。 「きたのね。」 玉座に座ったベールはしもべに向かって言った。しもべの名は桂言葉。 生首をかかえてふらふらしているのを見つけて、おもしろそうだから 自分の手下の一人にした。魔法によって腐敗が止まった生首を自分の彼氏だと言い張って いる。魔王であるベールにとってこういう破滅的な人間は何よりの好物だった。人の心の 闇に入り、人を操る。まさに魔王冥利につきる。 「各世界を結ぶ巨大な迷宮が現れたの。各勢力の動きとダンジョンの様子を調べてきて ちょうだい。」 「申し訳ありません。今日は誠君とデートの約束があるんです。」 「そんなの、後にしなさい。」 「誠君との約束を破るわけにはいきません。」 「わかったわ。じゃあ、埋め合わせに、クリスマスは休暇あげるから。」 「クリスマス・・・・・・、二人っきりで。私たち本当の恋人になれるんですね。」 「じゃあ、そういうわけでいきなさい。」 「わかりました。」 「そうね、一応、ダンジョンだからあなただけど少し不安ね。」 そう言ってベールは指を鳴らした。そうするとどこからともなく二人のウィザードが 現れた。 「キュンキュン」 「カラカラカラ(鍋をかき回す音)」 「言葉、この二人をつれてゆきなさい。」 「はい。待ってください誠君」 こうして三人のベールのしもべたちはダンジョンへ向かった。 ベールは思った。「人選間違えたかも。」 8-584 オリジナルで申し訳ないが、そもそも舞台が半分オリジナルなんで勘弁してくださいちょっと状況動かしますよっと。 ダンジョンの最奥。皆の望むものの眠る間の前で、突如異変が起きた。 時空が歪み、ねじ曲がり、やがてその歪みは裂け目となって―――あるものを吐き出す。 「それ」は少女だった。輝きのない色素の抜けた灰色の髪、簡素な貫頭衣に身を包む、10に届くかどうかの年頃の少女。 彼女はダンジョンの奥に眠るものを茫洋とした瞳で見て、踵を反してぺたぺたと歩きだす。 ダンジョンに踏み入ったものを導くために。そして―――誰も幸せにできない不出来な自分の本体を破壊してもらうために。 ダンジョンの皆が奪い合う何かの分身がうろうろしてる模様。 これを捕まえると最短ルートで辿り着けます。意思薄弱・あまり話さない素直クールキャラ。 他のチームが仮に先に着いてもこの子がいないと起動しません。 それ以外のことは特に考えてないので、好きに決めちゃってください。名前とか、初遭遇とか、語尾とか。 そもそもルール的にこの展開がウザかったらスルーでお願いします。 8-585 ――時間は少し巻き戻る。 斉堂一狼らウィザードに敗れ、裏界にてベール=ゼファーの逆鱗に触れ、 頼みの綱のルー=サイファーにまで見捨てられた今、ニー=クラリスは消滅の危機を迎えようとしていた。 ベルの魔力が今まさに振るわれんとしたその時。 『お前の望みを言え……。どんな望みも叶えてやろう!』 魂に直接響くような声に、しかし彼女は縋り付く。 (私の願い、それは――!) * * * * * * * * * * * * * * * * * かくて取引は成り、彼女は存在を繋ぎとめ、同時に力を手に入れた。 見つけた者の願いを叶えるという霊獣、『黄金のコンドル』を鏡に封じて。 力の対価は、『鏡』の探索能力で世界のどこかに眠る5つの欠片を探すこと。 ならば、世界の全てを『鏡』で見通せる自分の領域――『迷宮』に閉じ込めてしまえばいい。 「冥魔だろうが何だろうが関係ないわ。全ての魔王を見返して、現世も裏界も私のものになるの。 この『迷宮皇帝』ニー=クラリス様のものにね!」 また少し、迷宮の拡大が加速する。 ……全世界を飲み込むまで、残り約3日。 #出した手前、少し方向を収束させてみます。クラリスは『あの方』=エンディヴィエの手駒です。 #もっとも、本人にその自覚はありません。彼女の目的は次期裏界皇帝になること。 #黄金のコンドル=「大いなるもの」を助け出せば世界の迷宮化は止まる、なんてどーですか? #完全に元に戻すにはエンディヴィエが開いた『異世界への扉』を破壊する、とか。 8-588 真女神転生ifクロス プスプスと煙を上げる、巨大なモンスター。巨大なカマキリを思わせるその姿。 かつてとある風来人の手で倒されたそれは、エンディヴィエの手で蘇り…そして今また倒された。 優秀な悪魔召喚師と凶悪な魔王、そして1人の落し子の手で。 「やりましたねちょーこーさま!」 「と~ぜんよ!この程度、このあたしにかかればど~ってことないわ!」 (この2人…強い!) 夜見トオルは勝ってはしゃぐ2人を見ていた。 このモンスターは恐るべき力を持っていた。このパーティーでも苦戦するだろうくらいには。 だが、彼らは危なげなく勝利した。それは、パール=クールの強力な魔法で戦闘が長引かなかったと言うのもある。 だが、一番の要因は…もう1人、タマキの活躍だ。 タマキは魔法は使えない。持っている刀も銃も恐ろしく強力なものだが、だがそれだけだ。 タマキの最大の武器、それは… 「トオルくん!右からくるよ!」 「うお!?」 とっさに箒を右に構えた瞬間に、巨大な鎌が箒にぶち当たり、トオルは吹き飛ばされる。 ガードした上からでも強力な一撃は、トオルに大ダメージを与えた。防御していなかったら死んでいたかも知れない。 「大丈夫?さっき渡した宝玉で回復しといて!」 「あ、ああ!」 懐からタマキから渡された玉を取り出して、握りつぶす。魔力がトオルに流れ込んで、一気にトオルの傷を癒す。 「くらえ!」 タマキが懐から黄金色に輝く拳銃を取り出して、モンスターの顔面に発砲する。それはわずかにモンスターの顔面を傷つけ… 「グア!?」 破裂して強力な光を発しモンスターをショック状態に落とす! 「今です!」 そう言いながらタマキが振り向いた瞬間… 「くらいなさい!」 絶妙のタイミングでパールの魔法が完成する! モンスターを荒れ狂う雷のドームがおおう。その雷撃をショック状態のモンスターはよけることができずに中心で食らった。 そして、雷がやんだとき…そこには消しズミと化したモンスターの残骸が残っているだけだった。 タマキの最大の武器、それは的確な指示を出す、司令塔としての力。幾多の悪魔の協力を受けてノモスを突破するうちに身についた能力だ。 「いや~トオル君がいてくれたおかげで楽に勝てたよ。あたしとちょーこーさまだけだったらもっと苦戦してた」 「いや、俺、あんたらほど強くないから、むしろ足手まといじゃないか?」 トオルが正直な感想を口にする。パールの実力はいわずもがなだが、それを従えるタマキもトオルよりも強かった。 「う~ん。こっちとしてはアイテムが使えるパートナーってだけで十分ありがたいんだけどね。なにより…」 タマキがトオルをじっと見つめる。 「…トオルくん、守りたいものがあるでしょ?だから、きっと強くなれるよ。あたしなんかよりもね」 ぎょっとする。ユリのことは話していない。 「…なんで」 「う~ん。トオルくんってさ、率先して戦ってくれるじゃん?あたしらに任せといてもいいのに、危険を顧みないで。それがなんか自分を強くしよ~って感じだった」 言葉を失う。元々アタッカーの自分が前に出るのはいつものことだ。だが、確かに優秀な戦士でもあるタマキがいる現状では必要ないと言えば無い。 「…良く見てるんだな」 「サマナーは観察力が命だからね」 タマキは笑って答える。そして、その後真顔になって言う。 「…これだけは覚えておいて」 「なんだ?」 「トオル君は守りたいものを守れるために力を求めてる。それを絶対忘れないで。じゃないと、いつか悪魔の力に飲み込まれちゃうかも知れないから」 その表情はどこか泣きそうな顔で… 「…ああ、分かったよ。肝に銘じておく」 「…そ、良かった」 「ちょっと~いつまで話してんのよ!」 「あ~っと、ごめんなさい。ちょーこーさま。じゃ、さっさと行きましょうか」 そして、3人は歩き出す。更なる奥へと向かって。 「ぱ、パール=クール…」 ニー=クラリスは鏡でその様子を見て震えだした。ルーやベルに正面から歯向かう、歯向かえるほどの大魔王を見て。 かつて、下級侵魔だった頃、いつも感じていた恐怖が蘇る。魔王に仕えながら、いつ消されるのかとおびえていた記憶。 「な、何とかしないと!」 そう言うと鏡を取り出す。 「い、行きなさいパール!パール=クールを倒してきなさい!」 その言葉を受けて、パールの姿を模した、劣化コピーが無数にタマキたちへと向かう。 「だ、大丈夫。あれだけいれば、あれだけ…」 そして、いつまでもやまない震え続ける。ガタガタと、ガタガタと… ← Prev Next →
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―――ザールブルグ近辺 通学路 「うぅ…まだ身体の節々が痛い…」 今日も今日とて非常に大変だった“1日”にフラフラになりながら、メガネの“ガーディアン憑き”、赤根沢玲子は帰り道を歩いていた。 「大丈夫ですか~?」 傍らに立つおかっぱの少女が心配そうに玲子に聞く。 彼女の名は倉沢桜花。元輝明学園の守護霊にして現赤根沢玲子の“ガーディアン”である。 「はい…何とか歩けるくらいには…」 なんて言ったそばから脱力して転びそうになる。 「おっと…本当に大丈夫ですか~?」 「…すみません。やっぱり、肩を貸して頂けますか…?」 ここで意地を張っても仕方がない。そう判断し、玲子は桜花に言う。 「それにしても~一体どんな訓練を~?」 玲子に肩を貸しながら、玲子をここまで消耗させる訓練とは何かが気になり、桜花は玲子に尋ねる。 「はい。今日は、新しい魔法の習得が課題でした」 そう言うと同時に、玲子の脳裏に、その時の様子が思い浮かぶ――― 「どうやらお前ら“ガーディアン憑き”の魔法の適正は、憑いたガーディアンの特性に影響されるらしい」 タバサと共に玲子を“研究”した結果を、エヴァは淡々と述べる。 「今のお前の魔法の適正は“火”に向いている。憑いている桜花が火の使い手だから、当然と言えば当然だな」 輝明学園で確認した桜花の属性は“冥”と“火”。 これらのうち冥の魔法とは今一つ相性が良くない。どうやら玲子自身の特性と反しているらしい。 「今までのガーディアンから覚えた中には“氷”の魔法もあるようだが、今そこを鍛えてもどうせ伸びん。故にお前には“火”を鍛えてもらう。喜べ。今日から実践編だ」 ぱぁっと、玲子の顔に笑顔が宿る。 「はい!分かりました。よろしくお願いしますマスター!」 これまでのひたすら基本…集中、制御、発動速度、反射速度を鍛えるためにエヴァの魔法を“迎撃”する訓練から解放され、 ようやく1歩踏み出せた気がして、玲子は嬉しかった。 「…いい返事だ。それでは、始めようか」 そう言うと、エヴァはふっと笑みを浮かべ魔法を詠唱する。 「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック…氷の精霊(セプテンデキム・スピリトゥス) 17頭(グラキアーレス)集い来りて(コエウンテース) 敵を切り裂け(イニミクム・コンキダント)魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・氷の17矢(グラキアーリス)!!」 エヴァが詠唱を完成させると同時にエヴァの周りに17本の氷柱が浮かぶ。その威力は、タバサの“ウィンディ・アイシクル”に匹敵するだろう。 「…何をすればいいか、分かるな?」 いつもの不敵な笑みを浮かべ、エヴァが言う。 「あ、え、えっと…りく・らく・ららっく・らいら「馬鹿か」ええっ!?」 とりあえずエヴァの詠唱を真似ようとした玲子に、エヴァは冷たく言い放つ。 「言っただろう?お前には火を鍛えてもらう、と。私の“氷”の魔法を真似てどうする。第一貴様は私の世界の魔法のことなど知らんだろう? 私の世界の魔法はただ唱えれば発動するほど、甘くは無いぞ」 精神の集中から始まり魔力の収束、発動、解放。基本プロセスには共通点こそあるものの、その様式は、世界ごとに様々だ。 既に元の世界の魔法を“極めた”ような奴ならともかく、並の魔術師では“異世界の様式”の魔法を使いこなせるようになるまでには月単位の訓練が必要となる。 「お遊びなら“火よ灯れ(アールデスカット)”から始めてもいいんだが、今は時間がない。お前のところの様式の魔法なぞ知らん。自力で習得しろ」 そう言うと同時に、宙に浮いた氷柱が全て、玲子の方を向く。 「え、あ、あのマスター…自力でと言うと?」 その様子に冷汗を浮かべて聞く。答えは何とな~くわかったけど、聞かずにはいられなかった。 「ああ、安心しろ。急所は外してやるし“ディアラマ”を唱えられるくらいの暇はやる。 全弾まるごと焼き払えるだけの“炎”を生み出せ無い限り、ひたすら削り続けられる。そう思え」 「その台詞のどこでどう安心しろと言うんですかマスター!?」 玲子の突っ込みをものともせず、エヴァが笑みを深めて、言う。 「避けようなんて考えるなよ?追尾式だ。お前の足では避け切れん。むしろうっかり変な所に刺さってガーディアン交代なんてことになりかねんからな」 そして、その邪悪な笑顔のままエヴァはゆっくりと指を鳴らす体制を取り… 「タバサお薦めのエルクレスト産MPポーションを腐るほど用意しておいた。私のおごりだ。遠慮せず存分に…使いまくっていいぞ?」 パチンと地獄の開幕を告げる鐘を鳴らした。 「―――びっくりするほどスパルタンですね~」 玲子から本日の“訓練”の内容を聞き桜花が驚いて声を上げる。 「はい。カロンがいい笑顔で手招きしてるのが目に焼き付いて離れません…」 あの川の向こう側に言ったら…楽になれるのかしら?なんてなことを最後の1時間はずっと考えていたように思う。 「それで、どうなったんですか~?」 「はい。一応最後には“合格”もらえました…」 今日習得しないと次回は“土曜”…やり遂げないと次はこれが1週間と考えたら… 「人間、死ぬ気になれば意外と出来るものなんですね…」 しみじみと悟ったようなことを言ってみる玲子だった。 「玲子」 死んだ魚のような目になった玲子を、桜花がギュッと抱きしめる。 「今日の晩御飯は、私が作ります~…ねがいさんにこの前貰ったカップめんですけど」 「…ああ、ありがとう。助かります…」 人の情けが身に染みる。って言うか涙出てきた。 そんなことを思いながら、桜花と2人して抱き合ったその時だった。 「―――やれやれ。少し見ないうちに随分と親しくなったのですね…」 よく澄んだ、美しい声が辺りに響き…“異界化”する。 「この声は…まさか!?」 その声に聞き覚えのある玲子が驚くと同時に、抱き合っていた桜花からガクンと力が抜け、ついで玲子の手の中から“消失”する。 「お久し振りですね~パワーさん」 肉の殻を脱ぎ棄て、戦闘形態…本来の幽霊の姿となった桜花が、その“知り合い”に声をかける。 「…ええ。貴方もお元気そうですね。彷徨える御霊…倉沢桜花よ」 桜花の声に答え、その羽の生えた戦士…“天使パワー”は無表情に言い放った。 「パワー…じゃあもしかして!?」 「はい」 玲子の驚きの声にパワーは頷く。 「我が兄弟…サマナー佐藤は今、この世界に来ております」 そして、剣を構える。 「サマナー佐藤が、貴方に用事があるそうです。故あって言葉とすることはできません。無理やりにでも…来てもらいますよ」 その様子を油断なく見ながら、桜花がおっとりと言う。 「さて~、どうしましょうかね~?」 桜花は考えていた。目の前の天使の実力は知っている…自分を倒せるほどの実力は無い、と。戦ってもいいのだが。 「どうします~?玲子~」 「…一旦、逃げましょう」 務めて冷静に振舞いつつ、玲子は瞬時に手を決め、パワーに聞こえないよう小声で桜花に伝える。 『子供のころ、何かあったら時にはおまわりさんのところにでも逃げろって教わっただろ?それと一緒さ。無理に戦う必要は無い』 玲二から言われている。ヤバいと思ったら逃げたり助けを呼んだりするのは、恥でも何でも無いと。 「あと走って数分…500mも行けば居住区にでます。そこまで行けば…安全だと思います」 居住区には、たくさんの選抜委員やウィザードが住んでいる。玲子以上の実力者も大量にいる。 彼らなら、例え佐藤の仲魔が総がかりでも負けないはずだし、佐藤たちもそんな目立つ真似はしたがらないはずだ。 「私が、隙を作ります。それと同時に逃げます、いいですね?」 「…了解です~」 どうやらこの1ヶ月の訓練は無駄では無かったらしい。その事に桜花はうっすらと笑みを浮かべ、頷く。 「さあ、来ていただきますよ…ヒートウェイヴ!」 挨拶代わりにパワーは必殺の剣…自らの持つ最強の大技を放つ。 「残念。届きませんよ~」 それを桜花は笑顔を崩さず軽々と受け止める。 「…く!強いとは思っていたがこれほどとは!」 味方にすれば頼もしく…敵にすれば恐ろしい。そのことをパワーは知っていたが…未だ理解しきれていなかった。 「やはりここはサマナー佐藤の指示通り…」 そう呟いた瞬間、パワーは気づいた。その…今までの玲子ではありえぬ程の魔力の高まりに。 「はぁぁあああああああああああ!」 集中のために声を出す。ただの雄たけび。魔界の…“悪魔”の魔法に詠唱はいらない。いるのは集中、制御、発動のみ。 最も原初に近いが故に習得に必要なのは“本能”のみ…純粋な意思の力によって悪魔の魔法は発動する。 「…マハラギオン!」 発動のトリガー代わりの言葉を開放すると同時に。 「馬鹿な!?いつの間にそんな高位魔法を!?」 驚きの声を上げたパワーを、燃え盛る炎の嵐が飲み込んだ。 …数分後。 「はぁはぁ…ダメ…走り切れない…」 「大丈夫ですか~?」 つい先ほどまでの訓練で疲労困憊だった玲子が、半分ほどでへたり込む。 「こうなったら…受けて立つしか」 傍らの桜花を見て言う。だが。 「…いえ~、その心配はいらないようですよ~」 後ろを確認し、桜花が言う。 「…え?」 玲子も後ろを見て。 「追ってきてません~。振り切れたようです~」 「ええっ!?」 誰もいない通学路を見て驚きの声を上げる。 「一体何が…?」 パワーがあの程度で倒せるとは思えないし、逃がすとも思えない。だからこそ、何が起こったのか。玲子は首をかしげた。 ―――輝明学園 女子学生寮前 「…帰ってきました。戦ったのか?大きな疲労が見られます…え?それは訓練の成果?ま、まあとにかく無事みたいです」 今にも倒れそうなふらふらな足取りで帰ってきた玲子が桜花と共に女子寮に入って行くのをエヴァに報告し、一狼はほっと息をついた。 「今日の任務、無事完了、と…」 とりあえず、輝明学園の寮まで来ればもう心配はない。 輝明学園の女子ウィザードの大半がここに住んでいるのだ。中には侵魔相手にドンぱち繰り広げてきた物騒な方々がごろごろいる。 魔王とガチで戦った奴だって結構いる。雑魚魔王クラスなら1人で相手できそうな人も心辺りがある。玲子のお隣には魔王級との戦闘経験もある“要姉妹”だっている。 ただの痴漢ウィザードとかなら半殺しで極上生徒会に突きだされる位で済むだろうが、“異界の悪魔”ならばまず侵入したら生きて出られない。そんな物騒なところなのだ。 「これで1ヶ月が経ったことになるわね…」 傍らに立ち、じっと玲子の様子を見ていたライズが、ポツリとつぶやく。 「…あれだけの“隙”を見せている割に、食い付きが悪いわ」 ザールブルグから居住区に向かうまでの道は電灯もロクにないために暗い。 おまけにザールブルグの生徒の大半はアカデミー内で暮らしているので、平日に居住区へ行く学生もほとんどいない。 人気がなく、待ち伏せには最適の場所。にも関わらず、玲子を狙って来ないとは… 「やる気がないのか…それとも“読んで”いるのかしら?」 明らかな“隙”を作ってそこを相手にあえて狙わせるのは、兵法の常套手段だ。 玲子の話から、上である“魔人皇”はともかく、“前線での指揮官”には戦術の心得は無いとライズは判断した。 だからこそ引っかかると思っていたのだが… 「だとしたら…面倒くさいことになるわね」 エヴァの“訓練”とやらがいつ完了するのかは知らないが、この護衛任務はそう長く続かない予定だとは聞いている。 だからこそ早めに尻尾を掴んで叩き潰したい。そう、ライズは考えていた。 「こちらからも動くべきかしら?」 そんなことをライズがポツリと呟いたときだった。 「いや~、あっちもこのままってつもりは無いみたいだぞ?」 そんな声がライズの“背後”から聞こえる。 「…!?」 驚いて距離を取り、振り向いた先に立ってたのは… 「…いきなり斬りかかってこないだけ、椿より大分マシだな」 顔の半分を占めるグルグル眼鏡と、灰色の詰襟。夜だと言うのに寝ぐせが残ったままの手入れされていないぼさぼさの髪。そんな、おとぼけ学生が1人。 そこからは覇気も強そうな気配もまるで感じられない。完全に一般人の学生だ。 「…何者なの?」 だが、そんな“自分の直感”には惑わされず、ライズが時空鞘の中の剣に手をかけつつ聞く。 隠密たるライズと忍者である一狼。この2人の背後を気配も無しに取れる奴が、見た目と、気配通りのはずがない。 「…ライズさん。大丈夫です」 臨戦態勢を取ったライズを、一狼が止める。ついで、その少年に、敬意を持って話しかける。 「隊長殿。何かあったのですか?」 「その呼び方は、やめてくれって言っただろ」 相変わらずの堅苦しい口調に苦笑しつつ、言う。 「マモルでいいって。僕はそんなにすごい奴じゃないんだからさ」 何でも無いことのように“カゲモリ”の隊長、陰守マモルは言った。 「…なるほどね」 相変わらずおとぼけなマモルを見て、ライズが言う。 「どうやら、貴方が隊長だと言うのは、間違い無さそうね」 「へぇ?」 マモルが意外そうに声を上げる。 「初めて会った人は大体僕が隊長だって言うと驚くんだけどな」 「いいえ。貴方が隊長…最高の“陰”だと言うのなら、納得がいくわ」 ライズが緊張を解き、マモルを見る。 「陰は、人の中に紛れ込むのが仕事だもの」 自らの実力を悟られぬよう、それを隠す。 最初から隠す必要のないエヴァやタバサ、未熟な玲子はともかく、他の“カゲモリ”は多かれ少なかれその能力を持つ。 方法は2つ。吾妻兄妹のように一般人に紛れ込むため、一般人の“演技”を完璧に身につけるか、一狼やライズのように気配を殺す“穏形”の技を学ぶかである。 「…もっとも、極めるとここまでになるとは思ってなかったけど」 どんな手だれにも実力を見破らせない“演技”と完全に気配を殺す“穏形”。その2つを極めたマモルの実力を、知らないものが見破ることはまずないだろう。 「…ま、その辺はあの人たちの息子を17年やってれば自然と、ね」 ポリポリと頭を掻きながら、マモルは目をそらす。 「それで、隊長殿。あちらに何か動きがあったのですか?」 話しが一段落したと見て、一狼がマモルに尋ねる。 それにマモルは頷いて答える。 「ああ、羽の生えた人間…あれが天使って言うのかな?まあとにかくそれが玲子さんを襲ってきた」 「そう、それで?」 「…なんか、佐藤って人が玲子に用事があるらしい。無理やりにでも連れて行くって言ってたから、とりあえず倒してきた」 何でも無いことのように、マモルが言う。 「…そう」 それを当然のように受け取り、ライズが頷く。 「喋れる人型の悪魔だと言うのなら捕まえて事情を吐かせられれば楽なのだけれど」 「やあ、それがさ、相手の強さよく分からなかったから、本気でやったんだ。そしたら…」 「瞬殺と言うわけね」 ライズが溜息をつく。非難はしない。相手の悪魔、特にある程度以上の奴だったら“手加減”していたらこっちが危険だってことぐらい、ライズも理解している。 「まあね…次はちゃんと喋れる程度にしておくよ」 ライズの言葉に、マモルが頷く。 「お願いするわ」 どうやら目の前の男…陰守の名を持つ隊長は実際の実力もかなりのものらしい。 現在の殺気が全く無い状態からはどの程度か推し量ることもできないが、それを悟らせないのもある意味では実力だと言うことなのだろう。 「じゃ、僕はもう行くよ。椿と椿の知り合いのウィザードに頼んであるとは言え、ゆうなは放っておくと何を起こすか分かんないし」 そんなことを言いつつとマモルはしゅばっと掻き消えるように姿を消す。 「あれが隊長…カゲモリマモル」 ライズが確認するように口にする。 「なるほど…隠密としての能力は間違い無さそうね」 その鮮やかな消えっぷりにライズが関心して言う。 「あとはもう一つ…戦うものとしての実力なのだけど…」 とりあえず、玲子の前に出てくるレベルの悪魔を一撃で“殺せる”ほどだと言うのだから、弱くはないだろうとだけライズは結論づける。 …このとき、彼女は見誤っていた。隊長の実力のほどを。 ―――通学路 「一体何が…」 パワーが玲子と接触して30分、その場所からまるで動きを見せないパワーを不審に思って見にきた佐藤は絶句した。 「…パワー!?」 ズタボロにされたうえで、鎖で念いりに縛られたパワーを見て。 「クソ!?まさかこんな手で…」 仲魔が倒され…“殺されれば”悪魔はアームターミナルに戻ってくる。 だからこそ、やられてもそれをすぐに察知できたのだが… 「まさか…“殺さない”とはな…」 今までとは違う。今まで、何度か仲魔を“殺してきた”奴らとは、何かが。 「…う、うぅ…サマナー…佐藤…」 その声でようやく目を覚ましたのだろう。パワーがゆっくりと目を開ける。 「パワー!大丈夫か!?」 「す、すみません…」 一瞬の出来事だった。玲子が逃げた直後に現れた“それ”にパワーは手も足も出ず、倒され、捕まえられた…“殺される”こと無く。 「一体何があったんだ?」 「敗北しました…黒い…奇妙な格好の男…恐ろしく…桜花以上に…強い…」 パワーが必死に見たものを伝える。 「分かった!もう喋るな!今バステトを…」 アームターミナルをいじり出す佐藤に、パワーが最後の力を振り絞り、伝える。 「…おと…は…か…け…な…ど…よん…ひゃく…ねん」 “あの男”の、奇妙な口上を。 がっくし 力を使いきり、パワーは気絶する。しばらくは目を覚まさないだろう。 「いったい何なんだ…400年って」 彼はまだ気づいていない。 それが魔人皇という“闇”とカゲモリの誇る“陰”の、ファーストコンタクトだったと言う事を。 ← Prev Next →
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バイトでウィザード 【作者/レーベル】 椎野(しいの) 美由貴(みゆき) / 角川スニーカー文庫 【略称】 バイト 【世界観】 【内容紹介】 【登場キャラの把握】 【名前】 一条京介? 【登場巻】 【出典時期】 【名前】 一条豊花 【登場巻】 【出典時期】 【既刊一覧】 タイトル 発行年月日 定価 備考 バイトでウィザード 流れよ光、と魔女は言った 2002/11 540円 バイトでウィザード 滅びよ魂、と獅子はほえた 2003/02 540円 バイトでウィザード 蘇れ骸、と巫女は言った 2003/07 540円 バイトでウィザード 魔法使いで一攫千金! 2003/10 480円 短編集 バイトでウィザード 滅せよこの思い、と彼女は哭いた 2003/12 520円 バイトでウィザード 彷徨えわが現身、と亡者はうめいた 2004/04 540円 バイトでウィザード 術者の目覚めはウサギのダンス!? 2004/07 540円 短編集 バイトでウィザード とどけよこの憎しみ、と少年は涙した 2004/10 540円 バイトでウィザード したがえわが宿命に、と少女は呟いた 2005/02 560円 以降企画スタート後刊行 バイトでウィザード 黄泉路へつらなる万国旗! 2005/05 480円 短編集 バイトでウィザード 響けよわが祈り、と少女は笑った 2005/08 560円 バイトでウィザード 沈めよ恋心、と雨は舞い降りた 2005/12 580円 バイトでウィザード 唱えよ安らぎの歌、と星は輝いた 2006/05 540円 完結 バイトでウィザード 双子の飼育も銀玉次第! 2006/06 540円 短編集 タイトル 発行年月日 定価 備考 【メディアミックス】 コミックス、ドラマCD 【参考資料】 バイトでウィザード - Wikipedia ←【デュラララ!!】 ↑【原作紹介】 【バッカーノ!】→
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ハンドアウト PC1 推奨クラス アタッカー/勇者 コネクション 赤羽くれは 君は、大いなる存在によって戦う力を与えられた、伝説の戦士の一員である。 そんな君は、ある夜、夢を見た。 この世界…人間の世界と君の故郷が闇に覆われ、消えてしまう夢。 翌日、最悪の目覚めを迎えた朝に君は見た。その恐るべき闇がこの世界へと現れたのを。 共に戦う仲間を助け、君は闇に飲まれた。そして気がついたとき…君は、まったく知らぬ場所に寝かされていた。 PC2 推奨クラス キャスター/大いなるもの コネクション 謎の老人 ある夜、君は夢を見た。 暗き闇に一人たたずむ、小柄な老人。老人は君を見て言う。 「…強大な力にはそれを注ぐに足る器が必要となる。少女よ、今一度力を与えよう。夢の欠片の結晶と共に」 翌朝、目覚めたとき、君は再び手にしていた。失われた箒と、戦うための力を。 そしてその直後、朝の神社の掃除中に君は見つけた。 衰弱した、普通の動物ではありえぬ、二足歩行のピンクのうさぎ。 それを見て君は確信した。 偶然ではありえない。君の双肩に再びのしかかったのだ…この世界の、運命が。 PC3 推奨クラス ヒーラー/夢使い コネクション 黒い仮面の男 君は世界を救ったこともあるベテランのウィザードである。 そんな君は今、とある事件を追っている。各地で頻発する仮面をつけた謎の冥魔、その原因を。 そして君は出会った。白昼堂々、ロンギヌスのショッピングモールに現れた…黒い仮面の男。 圧倒的な実力差だった。ロンギヌスの排除結界の発動が遅ければ皆殺しになっていただろう。 次は勝つ。愛する妻と娘のためにも。そう誓う君は出会った。 泡を食って近くの居酒屋から飛び出してきた、1人の男と。 PC4 推奨クラス ディフェンダー/落し子 コネクション ルイズ 君は異世界を渡り歩き様々な宝物を収集する、トレジャーハンター組織の一員である。 と言っても入社したのは最近で実績はほぼ0。このままでは再び首になるかも。そう感じた君はこの世界へとやってきた。 ごく最近、何故か強力な結界が弱まって、侵入が可能になった、未知の世界。 意外にも人間の住む世界にそっくりだったこの世界で君は迷走し…異世界人OKの居酒屋で愚痴をこぼしていた。 この世界で知り合った、本気で転職を考える若者と妙にウマの合う店主に慰められながら酒を飲んでいた君は外から聞こえてきた声を聞いて吹き出した。 そう、それは…君にとって非常に聞きなれた叫び声だったのだから。 ← Prev Next →